花筐~花がたみ

気ままに各地を歩きながら撮った写真をメインにして・・・


四日市市北部の丘陵に国指定史跡“久留倍官衙遺跡がある。

国道1号の北勢バイパス建設する際の事前調査で発見された。

復元・整備され“くるべ古代歴史公園として

昨年11月1日から一般公開が始まっている。


案内によると

飛鳥・奈良時代から平安時代前期(7世紀後半ー9世紀末)にかけて

古代朝明(あさけ)郡の役所があった場所であり

その変遷は大きく3つの時期に分かれるとのこと。

7世紀後半から8世紀前半の第Ⅰ期

8世紀中ごろから8世紀後半の第Ⅱ期

8世紀後半から9世紀末の第Ⅲ期


また、政庁・正倉院など施設の全体像や変遷が判ること

主要施設が他の官衙遺跡と異なり東を向いていること

壬申の乱、聖武天皇東国行事の史実と結びつく可能性がある

これらのことから古代史解明の上で重要な意味を持つ遺跡とされている・・・

このようなことが掲示されている。


第Ⅰ期の正殿(中央)と八脚門・塀(後方)

210210久留倍官衙遺跡公園-1

手前の四角形は倉庫の柱を立てた穴跡を示す。


表から見た八脚門と塀

210210久留倍官衙遺跡公園-2


遺跡公園を横切る形で走る北勢バイパス

210210久留倍官衙遺跡公園-3

このバイパスの高架が無ければ

遺跡から海までの見晴らしが愉しめたはずだ。

ボランティア説明員の話によると

当初、四日市市はバイパスを地下に建設するよう国に申し出たのだが

建設費高騰のため高架になったという。


八脚門から正殿を眺める。

210210久留倍官衙遺跡公園-4

門は南向きではなく東向きになっているので

ちょっと違和感があったのだが

“くるべ古代歴史館”のボランティア説明員から

「太陽が東から昇ること、天照大神の伊勢が東」と聞いて

東向きになっていることを納得できた。


正殿(中央)と八脚門・塀(後方)

210210久留倍官衙遺跡公園-5


大型倉庫の柱を立てた穴跡

210210久留倍官衙遺跡公園-6

手前は発掘調査時に撮影した写真をもとに

原寸大で陶板に複製したもの。


このほか、Ⅱ期、Ⅲ期の建物群の柱跡が地面に表示されている。

久留倍官衙遺跡公園の面積は27560㎡。



公園内には万葉植物の植栽エリアもある。

その植物を詠んだ万葉集収載の歌が

それぞれの植物に付けられている。

例えば・・・

“ツバキ”

河上の 列々椿 つらつらに 見れども飽かず 巨勢の春野は
                       春日蔵首老

“ヤマツツジ”

水伝ふ 磯の浦廻の 石つつじ 茂く咲く道を また見むかも
                        作者不詳

“フジバカマ”

秋の野に 咲きたる花を 指をり かき数ふれば 七種の花
                        山上憶良

“アセビ”

磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が 在りと言はなくに
                              大来皇女 



今は緑が無いが、そのうちに芝生がきれいになる。

万葉植物の花々の彩りも愉しみの公園だ。



“くるべ古代歴史館” (2018年に先行オープンしている)

出土品やそのレプリカなどの展示があり

映像でも遺跡のことを学ぶことができる。

(グリーンのベストを着ている男性と女性が説明員)

210210くるべ古代歴史館

左下はⅠ、Ⅱ、Ⅲ、それぞれの時期の

建物の移り変わりを示した模型。



このあたりを詠んだ万葉集収載の歌四首が掲示してあるので

説明員に「ほかにもあるのですか」と訊ねると

「この四種だけのようです」とのことだった。

もっとありそうに思ったのだけどなあ。


このあたりを詠んだ万葉集収載歌(館内掲示)

三重三重

聖武天皇行幸の際の御歌

妹に恋ひ吾がの松原見渡せば潮干の潟に鶴鳴き渡る


朝明(あさけ)郡

丹比屋主真人の歌

後れにし人を偲はく思泥の崎木綿取り垂でて幸くとぞ思ふ


大伴家持の歌二首

大君の行幸のまにま我妹子が手枕まかず月そ経にける

御食つ国志摩の海人ならしま熊野の小船に乗りて沖辺漕ぐ見ゆ

(撮影 2021年02月10日(水) OLYMPUS XZ-10

          

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おはようございます
歴史を感じますね
説明員の方 ボランティアですかね
[ 2021/02/11 09:55 ] [ 編集 ]
おはようございます♪
バイパスの高架が残念ですね。
でも、ないと不便でしょうし、痛し痒しですね(^_^;)
今日はお天気が良さそうですが、また歩き始めてくださいね。
[ 2021/02/11 10:44 ] [ 編集 ]
Saas-Feeの風さん、こんにちは~♪
古代史は謎に満ちていて物語なのか現実に起こったことなのか
さっぱり分かりませんが、身近に“久留倍官衙遺跡”のような
遺跡があると、興味を持つきっかけになるかもしれませんね。
大雑把でも良いので、もう一度学び直してみたいです。
[ 2021/02/11 13:33 ] [ 編集 ]
官衙遺跡
何年か前につくば市にある平沢官衙遺跡を訪ねたことがあります。
四日市にも官衙遺跡があるのを知り、行ってみたいなあと思っていました。
つくばと同じく、広い芝生の敷地に歴史的建造物が建っているようですね。
万葉植物は151種詠まれているそうです。
どんどん数を増やしてほしいてすね。
[ 2021/02/11 19:30 ] [ 編集 ]
高架橋
重要な遺跡の上に真新しい高架橋は残念ですね。
くるべという響きにもなんだか万葉を感じる気もします。
[ 2021/02/11 19:55 ] [ 編集 ]
Σ ヒューマンさんへ
ボランティアですね。
体温測定後に入館でした。
氏名と連絡先を記入しましたよ。
使う鉛筆は消毒済み!
[ 2021/02/12 14:11 ] [ 編集 ]
Σ ベルさんへ
我が家からこのバイパス入り口までちょっと遠いのですが
1号線を使うより目的地到着が早いのでたびたび使っています。
信号が少ないので運転が楽です。
[ 2021/02/12 14:14 ] [ 編集 ]
Σ hiroさんへ
hiroさん、こんにちは。
宮城県の多賀城政庁跡を訪ねたことがあります。
https://floatbridge.blog.fc2.com/blog-entry-1024.html
政庁跡とはこのようになっているのかと思いましたが
身近なところにも政庁跡が現れて驚きましたよ。
どちらも聖武天皇の時代に関わる遺跡でした。

[ 2021/02/12 14:27 ] [ 編集 ]
Σ やっこさんへ
つくばにも官衙遺跡があるのですか。
40年近く前(厚木にいるころ)に何度か筑波大学に出張しました。
それ以外につくば市とは縁が無いのですよ。
どのような遺跡なのでしょうね。

万葉植物がそんなに多く詠まれているのですか。
この万葉植物植栽には四日市農芸高校が関わっているようです。
[ 2021/02/12 14:35 ] [ 編集 ]
Σ 大連三世さんへ
四日市市で初めて国の指定を受けた遺跡です。
“くるべ”の名の由来については判りません。
ちょっと変わってますよね。
[ 2021/02/12 14:38 ] [ 編集 ]
>四日市市で初めて国の指定を受けた遺跡です。
全く知りませんでした
1度行ってみたいと思います

高架橋での景観は勿体ないですが仕方が無いのでしょう
[ 2021/02/12 16:54 ] [ 編集 ]
恥ずかしながら、知らなかったです。
ただバイパス工事中に遺跡が見つかり、工事が一時ストップしていたという情報を得てはいたのですが。。。
大矢知にそのようなところがあったのですね
斎宮跡に出かけて、そのスケールの大きさに驚いたものです

[ 2021/02/12 17:31 ] [ 編集 ]
Σ ゲンかあちゃんさんへ
バイパスの高架が無ければ見張らせるのですがねえ~。
ちょっともったいない気がします。
近いですよ。
散歩にも絶好です。
[ 2021/02/12 20:07 ] [ 編集 ]
Σ のんきさんへ
3ヶ月前の一般公開で、新聞の地方版に出て知りました。
なかなか行けなかったのですよ。
バイパスを通っていくと早いです。
斎宮跡・・・9年ほど前に行きましたよ。
[ 2021/02/12 20:10 ] [ 編集 ]
こんばんは(^o^)/!
ご無沙汰しております。

四日市にこのような公園ができたこと、初めて知りました。古代のロマンですね。
そう言えば、四日市には日本武尊が歩いたとされる”杖突坂”、そしてそこで「血を吐いた」と言われる”御血塚”もありましたね。
7~8世紀ごろでしたら、奈良から平安への時代でしょうか?!ここで少しでも歴史の謎が解けると面白いですね。
[ 2021/02/13 00:12 ] [ 編集 ]
万葉の古に想いを馳せて
素敵な所ですね。周囲が広々していて古がそのまま想いをおこさせるのも素晴らしい。
[ 2021/02/13 00:40 ] [ 編集 ]
こんばんは~
悠久の世界に入り込んでしまいますね。
現在の便利さを追求するために景観を犠牲になっていることが心が痛みます。
こちらでも便利さで高速道路が出来ますが、かっての広い空が消え歴史が冒涜(言い過ぎですね!)されているように感じます。
[ 2021/02/13 01:15 ] [ 編集 ]
国指定史跡久留倍官衙遺跡のことを恥ずかしながら
全く知りませんでした。
いつか訪ねてみたいところです。
もう25年も万葉研究会もさぼりつづけていますので
こういう情報も入りません。
[ 2021/02/13 08:18 ] [ 編集 ]
立派に遺跡が復元されたのですね。
壬申の乱の通り道だったのでしょうか。
この先北の関ヶ原の所から西へ壬申の乱があったことが書いてありました。
中山道に面しています。
万葉植物園に関してですが、国分寺のお寺にも万葉集からの植物に関する歌が札に書かれてぶら下がっていますが、肝心の草や木の方は枯れて見えなくなっているのが多いです。
[ 2021/02/13 08:41 ] [ 編集 ]
Σ 慕辺未行さんへ
昨年11月1日に一般公開されて3ヶ月ですね。
これから知名度があがることでしょう。
杖衝坂や白鳥塚などヤマトタケルの足跡をたどりましたよ。
ヤマトタケルに因む神社もありますね。
[ 2021/02/13 08:44 ] [ 編集 ]
Σ agewisdomさんへ
バイパスの高架がちょっと残念ですが
散歩にも好い所ですよ。
[ 2021/02/13 08:45 ] [ 編集 ]
Σ 筑前の国良裕さんへ
こちらでも開発が進み、自然が減ってきています。
新しい自動車専用道路も増えました。
野生動物たちはどうしているでしょう。
[ 2021/02/13 08:48 ] [ 編集 ]
Σ matsubaraさんへ
こちらでは朝刊の地方版で紹介されましたし
四日市市の広報にも掲載されました。
全国紙には載らなかったかもわかりません。
犬養孝教授の万葉の旅に参加していなかったことが残念です。
在学中に何度も実施されていました。
[ 2021/02/13 08:52 ] [ 編集 ]
Σ tonaさんへ
壬申の乱の際に朝明は大海人皇子の行程に入っており
桑名、不破関、近江と進んだそうです。
近江の息長横河や鳥籠山で戦いがあったと説明がありました。
聖徳天皇が東国行幸の際も同じ行程を踏まれたとのことでした。

こちらの万葉植物は植樹されたばかりのようです。
これから根付くのでしょうね。
植樹には四日市農芸高校の名が札に記してあります。。
[ 2021/02/13 09:04 ] [ 編集 ]
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(撮影 2008年07月09日)

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